家づくりに役立つ、インテリアのアイデア集
リノベーションや新築、DIY、インテリアコーディネートなど、
自分らしい楽しい住まいづくりに役立つアイデアを、
エイトデザインの住宅事例を題材にしてお届けします!
「この景色を見た瞬間に、ここに住みたいと思ったんです」
満開の桜が咲く日、あるマンションの一室で、ご夫婦の家づくりがはじまりました。
趣味の自転車や写真、猫との暮らし、そして日々のちょっとした「幸せの瞬間」を大切にしたい──
そんな思いをカタチにしたのが、愛知県岩倉市のI様夫婦のリノベーションです。
→WORKS 186「暮らしの景色を写す、デザイナー夫妻の家」愛知県岩倉市マンションリノベーション
今回は、こだわりと発見、そして少しの後悔も含めた、リアルな住まいづくりのストーリーをお届けします。
マンションを内見した日、ベランダの先に広がっていたのは満開の桜並木。
「写真が趣味のふたりにとっては、もう運命としか思えない景色だった」と笑います。
物件探しの段階では戸建ても視野に入れていたそうですが、ちょうど希望の立地で理想的なマンションに出会えたことで、心は一気に傾きました。
「近くに評判の良さそうな動物病院もあって、猫との暮らしを大事にしたいという想いとも重なっていて。さらに、リフォーム前の状態だったので、価格も抑えられて。すべてがちょうど良かったんです」
ご主人が希望したのは、「お気に入りの自転車を眺めながら仕事ができる空間」。
「マンションの間取りって、どうしても暗くて狭く感じることが多いけれど、広くて抜け感のある空間にしたくて。ディスプレイ重視で設計した分、裏側に物置スペースを設けてもらいました」
見せる楽しさと、隠す安心感。そのバランスが、この住まいの心地よさを支えています。
猫との暮らしを大切にしたいというのも、この家づくりのテーマの一つでした。
「出窓でくつろぐ猫の姿を見たり、ソファで猫と一緒にくつろぐ時間がとても幸せです。寝室も、猫と一緒に寝られるようにベッドスペースのサイズを少し広めに設計しましたが、今ではその半分以上が猫のスペースになっています(笑)。」
猫のトイレの位置も、当初の提案では土間を想定していたところを変更。リビングで一緒に過ごせるような配置にしました。
空間のアクセントになっているのが、リブパネルの壁。これは初期提案の段階からほとんど変更なしで採用された部分。
「北欧インテリアや民芸っぽい雰囲気が好きなので、提案してもらったときに“これ、すごく合ってる!”と思いました」
設計の打ち合わせでは、「こんな風にしたい」と伝えると、たくさんのアイデアが返ってきたそう。
「キッチンの造作もそうですし、好きな家具を置くスペース、リブパネルの設置など、自分たちでは思いつかないようなことをたくさん提案してもらえて、本当に楽しかったです。家づくりはもっと型にはまっているものだと思っていたので、最初に思い描いていた家づくりとはまったく違って、自由で柔軟な対応の連続でした。」
担当者が“いつか使いたいアイデアリスト”を持っていて、「何か提案ありますか?」と聞くと、笑顔で「こんなのどうですか」と出してくれて──
「こちらがマーケティングやデザインの仕事をしていることもあって、ついロジックやターゲット思考で考えがちですが、「これが作りたいんです」という純粋な提案はとても新鮮で、一緒にワクワクできたのが印象的でした。」
理想をカタチにした一方で、「実際に住んでみて気づいたこと」もあったといいます。
「猫のトイレまわりには、換気扇を付ければよかったなと思うことがあります。たまににおいがこもってしまうことがあって……」
「コンセントの位置も、もうちょっとここにあればよかったなと思う場所がいくつかあります。掃除機を使うときとか、地味に不便を感じるときも。」
こうした“ちょっとした後悔”も、リアルな暮らしを経て初めて見えてくるもの。
「設計段階でできる限り想像していたけれど、実際に住んで、動いてみないとわからないことってやっぱりあるなと実感しました。たとえばキッチンの壁についていたコンセントは、調味料を置いたら隠れてしまったり。」
お二人の暮らし方やルーティンを聞いた上で、どういう動線が最適かを考えて設計していますが、細かなところも含めてより深く一緒に考えていくプロセスの大切さに気付かされます。
日々の家事を支えるキッチンは、使いやすさを重視した工夫が満載です。
「食洗機はメンテナンスが大変そうだなと思い導入しなかったのですが、その代わりに作ってもらった水切りかごを置く専用スペースが本当に便利。夜に洗った食器をそのまま置いておけるので、朝の忙しい時間がぐっとラクになります。食洗機がない我が家には欠かせない機能です」
「作家さんの器が好きで集めているので、それを飾りながら収納できる作業台もお気に入り。買い物から帰ってきて荷物を置く場所としても使えるし、見た目もかわいいんです」
生活リズムが異なるため、夫婦それぞれで寝室兼ワークスペースを計画したのもI様のおうちの特徴。
奥様の寝室はリビングのとなり、小上がりを活用した収納付きのベッドスペースに。
「猫やホコリが入り込まないようにベッド下に空間を作らない設計にしました。下は収納になっていて、とても機能的です」
一方、ご主人のワークスペースは、ガラス扉で仕切りながらも猫の気配がわかるように。
「猫が扉の前に来たら、すぐ気づけるような設計にしてもらいました。ミーティング中にも猫が登場して、アイスブレイクになることも(笑)」
最後に、これから家づくりをする人に向けて、お二人からこんなメッセージをいただきました。
「住むのは自分たちだから、“お任せ”ではなく、自分たちでもしっかり考えることが大切。どれだけ暮らしを想像できるかで、満足できるかどうかが決まってくるんだと思います」
「大変なこともあるけれど、ワクワクする気持ちを忘れずに楽しんでほしいですね。言いたいことは全部言って、自分たちらしい暮らしを一緒につくってくれる人と出会えると、家づくりはきっと最高の経験になります。私たちもそうやって家づくりを進めてきて、本当に良かったと思えています」
“猫と暮らすインテリア”を軸に、自分たちの感性を大切にしながら、施主主導でつくりあげたこの住まい。
完璧を目指すだけではなく、「実際に暮らしてみてのリアル」も受け入れる。
このお二人の家には、理想だけでなく“暮らしの手触り”が詰まっていました。
少しの後悔も、たくさんの笑顔も。
それらすべてが、自分たちらしい住まいをつくっていくエッセンスなのかもしれません。
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