地元に愛された「アイス饅頭」屋さんを、事業継承で再始動させたプロジェクトです。
三重県桑名市で79年間愛されてきた「マルマン」。
小豆とミルクの懐かしい味わいの“アイス饅頭”は、
子どもから大人まで多くの人の夏の思い出でした。
しかし、後継者不在により2024年9月に一度閉業。
その知らせを聞いたのは、幼い頃からマルマンのアイスを食べて育った、
地元企業の代表でした。
「もう一度、あの味を未来につなぎたい」
そんな想いから事業を継承し、2025年8月8日、レシピごと受け継いで復活を果たしました。
エイトデザインは店舗デザインを担当。
テイクアウトスペースを広げて、地域に開かれた店舗デザインとしました。
ファサードには鉄の切り文字で住所を。
これまでもこれからも変わらずこの場所で、という願いを込めています。
小窓からはアイスの製造の様子を覗けます。
リニューアルにあたり、道路ギリギリまであった外壁を一部解体し、
地域に開かれた“ピロティ兼テイクアウト空間”を新設。
街との距離を近づけ、
老舗の重みをそのままに、やわらかな開放感をもたせました。
店内の一角は、桑名を愛するオーナーの思いを形にした
“地域への開放スペース”。
地元の人たちが集う、新しいコミュニティスペースとしての活用も。
内装には、オーナーが長年大切に集めてきた廃材や古道具を再利用。
ドア、金物、ドアノブ、プレートなど——
“いつか何かに使えたら”と眠っていたコレクションたちが、
新しい命を得て空間を形づくっています。
長年愛されたアイスの型やレシピを受け継いで、次の世代に。
再オープン後は昔からの常連客に加え、若い世代の来店も増加。
懐かしくて新しいマルマンのアイス饅頭は、世代を超えて地域に愛される存在へ。