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まちづくりコラム:ハチカフェ発コミュニティーブランド『ハチコミュニティ』

今回のまちづくりコラムのテーマは、カフェが主導するコミュニティについて。

前回のコラムでご紹介した阿佐ヶ谷高架下再開発プロジェクトの中核を担うテナントのひとつ、ハチカフェ阿佐ヶ谷店は単なる飲食提供の枠を超えたコミュニティ活動に力を入れています。

顧客とより深くつながり、相乗効果が生まれる。そしてそのコミュニティ活動を「ハチコミュニティ」というブランド化しました。

ブランド誕生のきっかけや想い、コミュニティ強化によって生まれた効果や活動について、発起人ハチカフェ マネジャーの安藤へのインタビューを元にご紹介します。

目次


 

エイトデザインが運営するカフェ ハチカフェ

ハチカフェの前身は名古屋市瑞穂区で2011年にオープンした「HACHI CAFE」。もともとはエイトデザインの顧客と家づくりを考える前も引き渡した後も、末長い関係を構築すること目指して始めた飲食事業です。

その後2017年にタルトとサンドイッチのカフェ「ハチカフェ」としてエイトデザイン事務所隣の名古屋市昭和区に再オープン。2020年には阿佐ヶ谷店がJR阿佐ヶ谷-高円寺駅間高架下の商業施設alːku阿佐ヶ谷にオープンしました。



 

目標は【飲食店という枠組みを超えて人を想う】

店長として阿佐ヶ谷店の立ち上げに関わった安藤は、新店舗を作り上げるにあたり「飲食店という枠組みを超えて人を想う」という目標を掲げました。

安藤:ハチカフェが東京ではほぼ無名の状況のため、ただおしゃれなインテリアで美味しいものを売っているだけでは生き残れないと思い、大切な仲間と大切なお客様がいて完成される幸せな空間にしたいと思ってお店の運営を試行錯誤してきました。
実際にお客様と接していると、ケーキを買ってすぐ帰るのではなくて、スタッフと喋るのを楽しんでいるお客様が多いなと。ケーキを食べていないのにお店に来ただけで「元気出た!ありがとう!」と言って帰っていくのも目の当たりにしてきました。

安藤:実際にハチカフェに来てくれるお客さんは、お店に“無駄のない合理的なサービスや機械で作ったような完璧な商品”を求めているのではなくて、人間的な部分とか想いとかそういった部分で心や生活の豊かさを感じてくれていると実感していて。
私たちのような小さな店で完璧を追求するとお互いに疲弊してしまうし、何かあってもフォローし合える、助け合えるような人と人との付き合いを大切にしていきたいと思っています。


 

お客様にとってもスタッフにとっても自分らしくいられる居場所を

安藤:ハチカフェのお客様もスタッフも、仕事などのために単身で上京してきた人がほとんど。仕事以外での人との対話やつながりがなかなかなくて寂しい思いをしていました。職場の人には話せないことでも、別の場でならもっと肩の力を抜いて話ができると思うし。そんなお客様と接しているうちに、もっと自分を出せる、自分らしくいられる場所を提供したくなってきました。

安藤:また、ハチカフェのスタッフも完璧な人間ばかりじゃなくて、何かあった時にはお客様に応援してもらったり助けてもらったりする関係性ができていました。お客様に応援してもらえることは、スタッフのメンタルケアもできてモチベーションも維持できるのでとても重要なことだと実感しています。だから今度は私たちがお客様を応援したくなって、そういう場をつくりたいという思いが膨らんできました。

安藤:もちろんお客様だけじゃなくて、今この店で働く若いスタッフたちにとっても、秘められた能力ややりたいことを発揮できる、自分の殻を破って新しい自分に向き合い、セルフブランディングを強化できる場にしたいです。


 

コミュニティをブランド化した理由

安藤:ハチカフェのコミュニティ活動は、お客様とスタッフが応援し合える場を目指しています。お客様の中には仕事以外でも好きなことで活動をしてみたいけど、やり方がわからない、きっかけがないと思っている人も多くて。そんな方が活躍できる場を設けています。ハチカフェとのコラボやワークショップ、イベント開催などさまざまな活動を行っています。

安藤:ただ、カフェでコミュニティ活動を発信していると「ここは一体何のお店だ?」と外からはお店の軸がぶれて見えてしまう恐れがあるので、「ハチコミュニティ」というブランドを立ち上げ、ブランディングの一環としての見え方になるようにしました。ブランド立ち上げ時にはクラウドファンディングも行い、たくさんの方に応援していただけました。

参考:クラウドファンディングプロジェクトページ
イベントや間借り営業、新しいことに挑戦できるコミュニティブランドを立ち上げたい!|CAMPFIRE

安藤:ブランドロゴもお店のファンの方がデザインしてくれました。名前をつけることでお客様との共通認識もしやすくなり、わかりやすく活動を伝えていけるようになりましたね。看板にはクラファンで支援してくださった方の名前を印字しています。

現在ハチコミュニティではお客様が主導だったり、スタッフの趣味を生かしたり、誰もが主役になれるイベントを行っています。

スタッフがハチカフェで別業態のお店を間借り営業。

第1回ハチコミュニティマルシェの様子。

お客様がデザインしたクッキー缶を商品化したり、あんバター好きの常連客が一日店長となってコラボメニューを販売するイベントも。

育休明けスタッフが講師を務めるおしゃぶりホルダーワークショップや、プロギング(ゴミ拾いジョギング)&朝ごはんの会など、ほかにもいろいろ。

参考サイト:
ハチコミュニティInstagram


 

人の魅力がお店の魅力、街の魅力に─

安藤:ハチカフェに来たお客様には、定型の接客だけでは絶対に帰らせないようにスタッフにも教育しています。積極的に会話のキャッチボールをして、楽しんで帰ってもらう。お客様のことをしっかり覚えて、そしてスタッフの名前も覚えてもらえるように。お客様へお届けする商品・空間への最大の付加価値は「人の魅力」。周りを巻き込んでハチカフェをもっともっと誰かが輝けるステージにパワーアップしていきたいと思っています。

 

安藤さんありがとうございました。
仕事と人生を分けるのではなく、仕事が自己実現のツールの一つであって欲しいという思いがエイトデザインにはあります。それを今いちばん強化して実行しているのはハチカフェです。この取り組みが周りの人や街にも波及していくことを願っています。
エイトデザインの飲食事業は、ただ飲食を提供する場ではなく、今まで携わってきたまちづくりプロジェクトと並走して盛り上げることを目的として行ってきました。
人の魅力がお店の魅力、さらには街の魅力につながるように。これからもハチカフェは人間力を磨き、単なる飲食店ではなく、顧客と深くつながる場として進化していきます。