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まちづくりコラム:「住む」を整えることから始めるまちづくり【SUMU INUYAMA】プロジェクト、その後の効果

エイトデザインが2016年に手がけた賃貸マンションのリノベーションプロジェクト【SUMU INUYAMA】

物件は、名古屋鉄道が所有する犬山駅上にある築30年8階建てRC造の複合型マンション「エスタシオン犬山」。駅上の絶好の立地でありながら空室が多々あった状況でしたが、コンセプト付けして住居フロア・商業フロア両面からのアプローチで改修。
賃料アップしながらも現在も満室稼働が続いています。

今回のコラムでは、このSUMU INUYAMAプロジェクトの概要とその後の効果についてご紹介します。

犬山に所有する観光資源を生かすためのプロジェクトの足掛かりとして

愛知県犬山市は国宝犬山城や木曽川鵜飼など観光資源に恵まれたエリア。その犬山市に名古屋鉄道は博物館明治村、日本モンキーパークなど多くの観光施設を所有しています。これらの観光資源をより活性化させるプロジェクトの一環として、まずはアクセスの核となる犬山駅ビル「エスタシオン犬山」のリニューアルが検討されました。

単身フロアの3割が空室だった賃貸マンション

築25年(プロジェクト当時)のこのビルは、もともとは1・3階が商業施設、2階が駅改札、4階以上が単身者向けの賃貸住宅という構成でした。
当時単身フロアの3割が空室。商業フロアも空室でした。

所有する名古屋鉄道は、単に改修し入居率を高めるだけではなく、エリアを活性化させ沿線の価値を高める方法を模索、エイトデザインと連携することになりました。

「住む」を整えることから始まるまちづくり

エイトデザインが提案したのは、まずは住みたい人を増やして、その結果お店が増えて地域が賑わうというまちづくり。フロアごとにターゲットとテーマを変えて、多世代が交流できる賃貸住宅にリノベーションすることを企画しました。

コンセプトはSUMU INUYAMA。

3Fの塾だったフロアは、住居へと用途変更申請をしてファミリー向け住居に。8Fの単身向けフロアは、4タイプの趣味・ライフスタイルを想定した単身女性向け賃貸住居に。1Fはエイトデザインが運営するファミリー向けのカフェへとリノベーションしました。

4つのライフスタイルの単身女性向け賃貸

まずは8階の単身女性向けのプランをご紹介します。共通するのは35平米1Rというプラン。全12室を、アウトドア好き、インドア好き、料理好き、ファッション好きという4つのテーマでリノベーション。カフェみたいなおうちに住みたい、広い洗面でメイクを楽しみたい、料理を楽しみたい、など憧れの暮らしを叶えられるプランとしました。


リノベーション前から賃料が1万8千円UPしましたが、現在も満室稼働。実際の入居者は20~30代の女性で、各住戸のコンセプトと内装を気に入ったことが入居の決め手になったそうです。

子育てが便利で楽しいファミリー向け賃貸

3Fの塾だったフロアは、用途変更してファミリー向け賃貸に。0歳から6歳までの子育て期間(就学前)の方向けに、買うのではなく、賃貸だからこそ住みたい家をつくりました。
共通するのは70平米前後の1LDKというプラン。全室「キッズスペース」「ベビーフェンス」「ベビーカー置場」を完備しています。



さらに共用部にもキッズスペースを。子育て世帯が集まれば、わんぱくでもお互いさま。下階は駅なので、音を気にせず親子とものびのび暮らせて楽しい思い出が残ります。
現在も空室がでてもすぐに入居者が決まる人気物件となっています。

経年変化を楽しめる内装で、ランニングコストが下がった──

リノベーション後の運用について、エスタシオン犬山の管理会社に話を伺いました。

“経年変化を味として楽しめるデザインなので、退去時に大きな修繕が必要ないのが良かったです。初期のリノベーションではコストをかけたが、その後のランニングコストがクリーニングくらいで済んでだいぶ下がりました。”

最後に──

このプロジェクトの後、駅前には新しいホテル、犬山城下町までの道のりにはセンスの良い個人店など、観光客向けだけでなく住民向けの質の良い店舗も増え、一帯はより魅力的な街に変化しつつあります。

2023年には1Fの親子カフェだった場所をより幅広いターゲットのハチカフェ犬山店にリニューアル。その隣には美容室を誘致し、さらに暮らしに嬉しい場所になりました。

店舗をエイトデザインが運営していることで、地域の店舗オーナーさんたちともいい交流ができています。


「住みたい」人を増やすべく、今年は2件の新しいリノベーション賃貸を施工。継続して他の空室のリノベーションも予定しています。

「住む」を整えることから始める魅力あるまちづくりを、これからもエイトデザインは目指していきます。