
今回のまちづくりコラムのテーマは、美容室2号店の開業から向き合う“働き方の再構築”について。
1号店オープンから10年。オーナーの北村さんはこれからの成長や働き方について、少しずつ考えるようになっていきました。 その中で踏み出したのが、2号店という新たな挑戦です。
新しい店舗では、無理なく働き続けながらも、成長や学びを止めない。
そんな“これからの美容室のあり方”を模索する想いが込められています。
エイトデザインは、リノベーションデザイン・施工を担当しています。
本記事では、リノベーションの背景とその後のお店の状況について、オーナーの北村さんとディレクターの河野さん(以下敬称略)にお話しを伺いました。

エイトデザイン: 2号店目の開業を考えたきっかけを教えてください。
北村: 1号店をオープンしてから10年。とにかく、人の何倍も働く気持ちでがむしゃらに働きました。
でもその生活を続けているうちに、心も身体も疲弊している自分に気がついて…。
「このままでいいのかな?」「本当に自分が目指したい働き方って…?」と考えるようになりました。一種の燃え尽き症候群のような状態だったと思います。
ちょうどその頃、違う美容室で働いていたディレクターの河野と話す機会があって。彼女もまた“将来の働き方”に対して考えているタイミングでした。
河野: 長年美容師として勤めてきましたが、「これ以上の変化や成長ってなんだろう」と思うようになって。それと同時に「今のまま働いていてもいいのかな?」という迷いもありました。
北村: 同じような悩みを抱えていたので、「じゃあ一度、学び合う時間をつくってみよう」と提案しました。
それが月1回の勉強会です。仕事の合間を縫って集まるのは大変でしたが、ここから学べることがたくさんあると感じ、これは私にとっても有意義な時間になると確信したんです。
ただ、それぞれが違う美容室で働いていることもあり、調整は難しくて。それならいっそ、「一緒にお店をやってしまえばいい」と思ったんです。
ちょうど1号店も人数的にキャパオーバーになっていたこともあって、2号店の開業という新たな挑戦に踏み切る決意をしました。

エイトデザイン: 2号店目はどんなお店にしたいと思っていましたか?
北村: 店舗で働きながら学び、そこで得たことをすぐにアウトプットできる環境をつくりたいと考えていました。
一緒に働く仲間は、経験を積んだ中堅の美容師。 同じような悩みを抱えつつも「もっと成長したい」と思っている方々です。
異なるキャリアを持つ美容師同士だからこそ、刺激し合い、新しい発想が生まれる。
成長の天井を感じたときに、「もっとチャレンジしたい」「もっと楽しみたい」と思えるような、その背中を押す存在でありたいと考えています。
なんとなくデザインのイメージは頭の中にあって。質感・素材感をポイントにつくっていきたいという思いがありました。
エイトデザイン: エイトデザインを選んだ決め手はありますか?
北村: インテリア好きの妻が、Instagramでエイトデザインを知り、座談会イベントに参加したことがきっかけでした。 憧れていた阿佐ヶ谷という地での開業に加え、偶然にもエイトデザインのオフィスも同じ阿佐ヶ谷にあったことで、自然な縁を感じました。
デザインで優れているとか、提案が良い、とかそういうところではなく、同じ気持ちでお店づくりをできる会社とお付きしたいなって思っていました。
初回の商談では、どんな話をいただけるのかかなりシビアな目でみていたと思います。(笑)
アドバイザーの佐藤さんがそれに負けないくらいの熱量でお話ししてくださったのがとても記憶に残っています。
当初2025年春の開業を予定していたものの、時間をかけてでも、しっかりとエイトデザインと一緒に店舗を作り上げたいと思いました。

エイトデザイン: デザインでお気に入りのポイントはありますか?
河野: 全体的につながるRの曲線や、造作で取り付けた大型のミラーは特に気に入っています。
多くの美容室ではミラーの前にテーブルなどが置かれて上半身しか見えないことも多いのですが、ここでは全身がしっかり映るように設計しています。
また、お客様の髪や表情がきれいに見えるよう、照明の配置にもこだわりました。
空間としての美しさだけでなく、仕上がりをより良く見せられる点も、このデザインの魅力だと感じています。


エイトデザイン: お客様からの反応はいかがですか?
北村: 内装について話題にしていただくことも多く、「どこで施工したんですか?」と聞かれることもあります。
「どの席に座っても景色がいい」と言っていただけるのも印象的で、けやき並木の風景に自然と馴染む空間になっていると感じています。空気感の良さを褒めていただくことも多いですね。常連のお客様にも新鮮さを感じていただけていると思います。

エイトデザイン: 開業後、お店の状況や心境はいかがでしょうか?
北村: 空間の力は、想像以上に大きいです。しっかりとデザインされた環境で働くことで、美容師一人ひとりの基準が自然と引き上がり、クリエイターとしての意識も高まっている実感があります。
それに伴って、お客様の期待値も上がっていると感じますし、その期待に応えようとする意識が、さらに良い循環を生んでいます。
空間としても、外の気配を感じながらもどこか切り離されたような静けさがあり、落ち着いて働けるのが心地いいですね。自分自身も楽しみながら働けています。

エイトデザイン: 本プロジェクトを通して感じたことはありますか?
北村: 美容師同士の交流も自然と生まれ、現在は月に一度のペースで勉強会を開催しています。 お互いに教え合うスタイルにすることでアウトプットの機会が増え、それに伴ってインプットの質も高まってきました。
人に伝えることで初めて気づくことも多く、技術だけでなく、伝える力も養われていると感じています。その結果として、技術力・集客ともに右肩上がりで、良いスタートが切れている実感があります。
また、改めて感じたのは、自分自身のステージアップに合わせて空間もアップデートしていくべきだということです。
リノベーションは、今あるものをただ壊すのではなく、良さを活かしながら新しい価値へと更新していくものだと思っています。
今回のプロジェクトを通して、その考え方は自分自身の在り方とも重なるものだと感じました。
働く人の変化に合わせて、空間もまた変わっていく。
その循環が、より良い環境や関係性を育てていく。
それは、リノベーションを通して私たちが大切にしている考え方にも通じるものだと感じました。
たくさんの想いをお聞かせいただき、ありがとうございました。
これからも一緒に、阿佐ヶ谷のまちやエイトデザインのコミュニティを盛り上げていけたら嬉しいです!