TOYLO PARKとはイトーヨーカドーの子供関連売り場のリブランディングプロジェクト。
デジタル技術を駆使した次世代テーマパーク「リトルプラネット」と融合したコンセプトフロアです。
エイトデザインは企画・ブランディング・設計施工で参加。
2021年4月にオープンしたイトーヨーカドー大和鶴間店を皮切りに、2021年11月にはグランツリー武蔵小杉にもオープンしました。
リニューアル後は売上が増加し、また同業他社からの注目度も高い施設となっています。
今回は、プロジェクトの仕掛け人のひとり、株式会社イトーヨーカ堂子供ワールド部 総括マネジャー山幡 耕司さんにお話を伺いました。
もともと2Fフロアのテコ入れのためにデジタル時代の新しい遊び場「リトルプラネット」の誘致が決まっていました。
しかし既存の子ども関連売り場のままではその良さが活かしきれないため全面リニューアルの話が持ち上がりました。
リニューアルするにあたっては、今までの売り場作りのやり方から根本的に変えたいと思い、エイトデザインに相談いただきました。
山幡さん
“今までの売り場はランドセルや勉強用品などのスクール用品がメインを占めていました。でもそれだと子どもにとってはあまり楽しくない場所になってしまいます。だから今度はとにかく子どもたちが喜ぶ夢中になれる場所をつくりたいと。ライバルは公園だと思っていて、そこよりも楽しい場所にしたいという想いがありました”
今までは山幡さんたちが所属する商品部が店舗デザインに関わることはなく、施設全体でフロア構成が決められて、決められた空間デザインの中で商品部が商品構成を考えるという進め方だったそうです。
今回は売り場作りを根本から変えたいという意向で、フロアのコンセプトメイキングの段階から商品部とエイトデザインも参加することになりました。
まずは子ども関連売り場の価値・商品の再定義を行いました。単なる子ども向けの商品ではなく、「こどもの未来を変えるかもしれないアイテム」が集まる場所に。
毎週ディスカッションしてまとめ上げたコンセプトは「ディスカ場ー!(ディスカバー)」。通販では提供できない実店舗の価値を考えた時に、そこは売り場ではなく「こどもの興味が発見できる”ディスカ場ー!”」であるべきだと定義したのでした。
「ディスカ場ー」であるために、エリアに入った時のワクワク感、探す楽しみが感じられるレイアウト、来店目的以外の商品や体験にも触れられる、などの要件をまとめました。
リトルプラネットの未来の公園と、実際のおもちゃで遊べる場の相乗効果で最強の公園に!を目標に、子どもたちが想像力を働かせ、冒険しながら遊びと楽しさが生まれる場所を作りました。テーマは「空き地」です。
斜めなどの少し変則的なレイアウトも取り入れて、「分かりやすい」より、「探す・発見する楽しみのある」売り場構成を提案しました。
山幡さん
“スケッチパースを見せてもらった時には衝撃を受けました。こんな場所ができたら楽しいだろうなと思いました”
「十人十色のこどもの成長を育む、公園のような場所になって欲しい」という思いで名付けたTOYLO PARKは、2021年4月に大和鶴間でオープンしました。
→事例を見る:TOYLO PARK大和鶴間
TOYLO PARK第2弾のプロジェクトはグランツリー全体のリニューアルのタイミングでスタート。前回よりさらにブラッシュアップ&パワーアップさせました。
テーマはサーカス団が空き地にやってくることをイメージした「TRAVELING CARNIVAL」。一番の特徴はなんと言っても、売り場をショーウィンドウの壁で区画したことです。
山幡さん
“正直、最初は売り場を隠すことにものすごく抵抗がありましたが、イメージパースを見たらこれをやりたい!楽しそう!と考えが変わりました”
山幡さん
“実際に完成した現場を見て、もうこれだけで勝利!!と思いましたね”
ショーウィンドウで入る前からテンションが上がる空間に。見えないことで逆に期待感を高める効果がありました。
什器のデザインも揃えたことで、売り場にしっかりとした世界観が生まれました。
→事例を見る:TOYLO PARKグランツリー武蔵小杉
TOYLO PARKにリニューアルしてから多くの反響がありました。スマホで写真を撮ったりSNSにも書き込んだりする家族も多く、「子どもにとっては天国」「子供がこの場所から離れてくれない」「自分が子供の頃にこんな売り場が欲しかった」などの声が届いています。
山幡さん
“評判はすこぶる良いです。今までは売り場自体が褒められることはあまりなかったので、反響があって喜んでもらえて嬉しいですね”
“数字的にも目標を上回っており、何よりお客様からの支持が高い。異業種や同業者からの視察も多く、反響が大きいのが嬉しいです”
今回のプロジェクトで初めて商品部とエイトデザインが一緒に仕事をすることになったのですが、実のところ、はじめはエイトデザインの提案に半信半疑だったそうです。
山幡さん
“正直、最初はなんでエイトさんがいるんだと思いました(笑)。というのもエイトさんに頼らなくても自分たちだけでも新しい売り場をつくれると思っていたから。最初はエイトさんからの提案に対しても、そんなことやって意味あるの?とも思っていたし(笑)”
“でも大和鶴間のプロジェクトで毎週ミーティングを重ね、方向性をまとめてくれて、明らかに売り場が変わった。自分たちでは思いつかない発想があり、デザインのセンスもよく、今まで装飾のことを意識していなかった自分たちも影響を受けました。一緒にやって良かったと思ったし、お互い分かり合えてこれからもエイトさんに任せておけば安心!と今では思っています”
エイトデザインとしては、TOYLO PARKは外部出店できるくらいのパワーのあるブランドを作りたいという想いで進めたプロジェクトです。イトーヨーカ堂さんからも評価をいただけてとても嬉しく思います。さらなる発展のために私たちにできることを整理し、新しいチャレンジをしていきたいと思っています。